2020.06.29
3才のファーブルさん
ファーブルさんは3才から6才まで、生まれたサンリオから丘をいくつかこえたところにあるおばあさんのところで過ごしました。
見わたすかぎりの草原の中に一軒だけ建っている石づくりの大きな家には、おじいさん おばあさんの他、いとこ達や、農場で働く人など、とても大家族。いちばん小さなファーブルさんは一日中おばあさんのそばで過ごす毎日でした。
外に出るとかわいい小羊や、ガーガーがちょうや時には、お日さまもファーブルさんの遊び相手をしてくれました。
ある日、ファーブルさんはお日さまに向かって、目を閉じたところ、まっ暗になったのをふしぎに思って、今度は太陽に向かって口を大きく開けてみましたが、お日さまは見えません。
口を閉じたり目を閉じたりをくり返し、ファーブルさんはお日さまは目で見ていることに気づきました。
その夜、ファーブルさんはみんなに「お日さまは目で見ているんだよ」と話すと「あったりまえ」と大笑いされました。
しかし、おばあさんだけは決して笑うことはなくファーブルさんの話に大きくうなずいてくれたのです。
後に「芸術家としてモノを見、詩人として感じ、コトバにあらわす」とたたえられた偉大なナチュラリストのファーブルさんのまなざしを生み育んだのは、南フランスの明るい太陽だったのです。